近未来航法

予測不能な現代社会を生き抜く知的サバイバル術

明日を生き抜くために、『世界観』という名の武器を授けよう

世の中は<世界観>で出来ている

映画やドラマみたく、あたかも筋書きが存在するかのような現実の出来事。そんな体験、あんたにはないだろうか。絶対的な何かに支配され、突き動かされているような感覚。それを神と呼ぶか、偶然の導きと取るかはあんた次第だが、いずれにせよ何かに支配され、何者かの絵図の上で踊らされているのは現実の話だ。そう、多くの人間が資本主義社会というシガラミのなかに生き、その束縛から逃れようともがき続けている。

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人は自由を求めて足掻くのだが、自由があるのは不自由さの中だけ。何も欲しがらない自分を欲しがるのではなく、欲しいものが無い境地にある自由にこそ目を向けろ。何かを欲しがり、何かを犠牲にしている時点ですでに自分ではない何者かの奴隷だ。誰にも支配されず、真に自由な生き方を手に入れるには世の中を、世の中の仕組みを因数分解しろ。書店で大安売りされている小手先のノウハウやメソッドを一蹴する、世の中を貫く絶対的な因子を探せ!

 

人は物語が好きな生き物だ。ストーリーを持つ商品に魅惑され、富も名誉も、ありとあらゆる成功はストーリーを持つ人間に引き寄せられる。この事実に目を向けると、世界を支配する因子が見えてくる。筋書きのない人生劇場は、<世界観>と<キャラクター>という2つの要素が大きく物語に左右することが理解できるはずだ。とりわけ自分だけの世界観を築き上げることができれば、これからの時代をサヴァイブする大きなアドバンテージとなる。

 

自分だけの世界観を手に入れろ。

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まずたしからしさの世界を捨てろ

人は曲がりなりに生きてきた数十年という歳月のなかで、人生とはどうやらこういうものらしいという不確かで頼りない感触を支えにして歩み続ける。だが、それはあくまで経験にもとづく妄想で実体験ではない。まだ生起してもいない出来事に対して怯え、リスクを負うまいと萎縮する。だけど、人生というのは思った以上にシンプルなものだ。人生を変える、好転させる選択というのは行動するかしないかの2択だけで、準備も充電もない。Time is Money…即断できない人間にバラ色の未来はない。

 

ア・プリオリに捕獲された世界の意味に問いを発せよ。自分が確かだと思っている世界に疑いの目を向けろ。自分をある限界に制約し続ける妄想の世界から逸脱せよ。現実だと思っていた世界が仮想空間マトリックスで、コンピュータがすべてを支配する悲惨な現実世界に覚醒めてしまった救世主ネオみたく、自らを虚構の日常から解き放て。バラバラに瓦解し砕け散った現実を自らの世界観によって凝視し、新たな世界を構築するのだ。そこから真の自由と成功の物語ははじまる。

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世の中に不満があるなら自分を変えろ

この言葉は『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』というアニメの冒頭部分で語られる印象的な台詞だ。今から10年以上前にはじめて観て以来、頭のなかに焼き付いて離れない。会社、上司、両親、家族、社会…人はとかく外的要因に責任を求めがちだ。しかし現状に不満があるのなら、今の環境に違和感を覚えるなら、まずは自分の意識から変えてみろ。問題の根本を自分の裡に問う仏教の禅思想とも重なり、この言葉はとにかく衝撃だった。環境に不満があるなら自分で変えるしかない。不満を口にしたところで誰かが解消してくれるわけではないのだ。会社に帰属していたときは、そういう気概で出世することのみ目を向けていた。

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同じようなことをアメリカの政治学者、ケネス・ウォルツが言っていることを後に知った。ウォルツは国際情勢を分析する際に、3つのレベルの強さを比較検討して整理することが有用だとしている。個人の関係性を軸にするファースト・イメージ、団体や組織、社会体制の側面から分析するセカンド・イメージ、国家や世界システムといった環境をサード・イメージとして、これら3つのイメージから複合的に物事を見ていくべきだとした。重要なことはこの序列だ。ファースト・イメージである自分自身の見方を変えるだけで、組織、そして世界の見え方まで変わってしまう。つまるところ、まずは自分を変えろってこと。

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奥山真司・著『世界を変えたいなら一度”武器”を捨ててしまおう』より

 

強烈な世界観をつくれ!

今、日本を、世界を席巻しているホットなものを眺めてほしい。USJもディズニーランドも世界観を売っている。アップルも最先端の世界観を作り出している。キンコンの西野亮廣が唱える「貯信時代」もまた世界観だ。羽生結弦やイチロー、桑田佳祐や椎名林檎などアスリートやアーティストが勝負するフィールドは自らの世界観そのものだ。そう、あんたの周囲もすべて世界観で出来ている。世界観をつくれる人は、時代の先を行くリーダーなのである。

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知の巨人といわれる佐藤優が心酔するチェコの神学者、ヨセフ・ルクル・フロマートカの「我々が活動するフィールドは、この世界である。キリストを信じる者こそがこの世界を誰よりもリアルに理解できる」という言葉はまさに真を突いたものだ。宗教こそ最強の世界観だ。確固とした世界観は自分の土俵となるフィールドを与えてくれる。独自の世界観によって創出されたフィールドの上では、自分は唯一無二の存在であり全能者なのだ。つまり…世界観は既存のルールを塗り替える!だからこそ、ならではの世界観は真似できない。

 

コントロールせよ!

人生とは、生き残りをかけた闘いだ。混沌とした複雑系世界におけるサバイバル術を研究する学問が存在する。国家の命運をかけ、魑魅魍魎が跋扈する国際情勢の荒波のなかで究極の生き残りを追求する『国際政治学』というリベラルアーツだ。この国際政治学のなかでもっとも重要視されているのが、バランス・オブ・パワーという均衡状態において他国を「コントロール」する術(すべ)なのだ。自分の優位を維持したまま、生かすも殺すも自在にコントロールする。それこそが覇者たるものの所為であり、絶対的なパワーなのだ。

日本人が知らない世界と日本の見方   本当の国際政治学とは (PHP文庫)

日本人が知らない世界と日本の見方 本当の国際政治学とは (PHP文庫)

 

 

世界観をつくりだすことで、すべてがコントロールできる。時間も、金銭も、人間関係さえも。自分に出来ないことはすべて出来る誰かにやってもらうことができるし、自分の負担に関わらず安定的な収益を生み出してもくれる。世界観はマーケティングとも相性がいい。自分の世界観に共鳴する人とだけ付き合えばいいので、無理に人脈や交友関係を広げる必要もない。大切なことは自分を犠牲にすることなく、いかに環境をコントロールするかということなのだ。これは多くの成功者が実践している極意でもある。

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言葉は力だ。言語が世界観をつくる

初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった。この言は、初めに神と共にあった。万物は言によって成った。成ったもので、言によらずに成ったものは何一つなかった。言の内に命があった。命は人間を照らす光であった。光は暗闇の中で輝いている。暗闇は光を理解しなかった。

 

これは新約聖書中のヨハネによる福音書の、有名な冒頭部分。ここでいう「言」とは神の言葉のことだが、言葉が世界をつくったということを云っている。つい最近たまたまある本を読んで、その意味を思い知らされた。巷で話題になっているROLAND(ローランド)なる元ホストの名言集なのだが、彼は言葉を武器に、自在に操ることでその世界の頂点にまで昇りつめた。何かとその発言が注目される人のようだが、この本には彼の考え方と生き様が凝縮されており、その一端を以下に抜粋しておく。

 

年齢はどれだけ生きたかは教えてくれても、どう生きたかは教えてくれない

たくさん嘘をついてきたけれど、自分に嘘をついたことはないね。一度も

ヴェルサイユ宮殿行ったら、観光じゃなくて内見だと思われないか心配だなぁ

反骨心が俺の恩人であり相棒さ

先の見えない人生が怖いって?俺は先が見えてしまった人生のほうがよっぽど怖いね!

俺か、俺以外か。 ローランドという生き方

俺か、俺以外か。 ローランドという生き方

 

 

たんなるナルシストの勘違い野郎とは一線を画し、計算され尽くしたウィットを惜しげもなく散りばめた、文学者顔負けの珠玉の箴言ぞろいだ。彼にとって言葉とは、芸術品のようなものだという。言葉ひとつで人生が変わったり、明るい気持ちにも嫌な気持ちにもなったりする。奥深き芸術の世界の産物なのだと云っている。彼が生涯をかけて扱っている主題こそが世界観だ。言葉が世界観をつくる。正直イロモノと思って手に取った本だったが、生きてく上でのヒント満載で、下手な自己啓発本よりもよっぽど役に立つ。ちゃんと勉強してるよ、この人。

 

※余談だけど件のローランドが、売れていない若手ホストを売上1000万円の売れっ子へとプロデュースする企画番組がめちゃくちゃ面白い。どうやって出演者のキャラクターを作っていくか、自分自身を商品として語られるNo.1ホストの“売れる”極意は、まさにその人自身の『世界観』に尽きるのだ。てか、ローランドの人間的魅力たるや半端ねえなぁ…

 

世界を見つめる眼差しを養え

世界観をつくるために何を為すべきかについて書いておこう。世界観が言葉で出来ている以上、言葉の扱い方や語彙を学ぶ必要があるだろう。そのためには出来るかぎり、様々な分野の書物を読むことだ。どのような人がどのようにして世界を見つめ、そしてどう表現しているか。ジャンルに関わらず様々なレンズをとおして世界を見る、という訓練が必要だ。

 

そうした複眼的な言語空間を拡げるとともに、日頃から芸術作品に触れておくことも重要だ。世界観をつくるのが言葉なら、世界観に奥行きを出すのは想像力やデザインセンスだからだ。言葉だけの世界観は、独りよがりな唯我独尊に陥りやすい。まずは拙著のこんな分野から勉強してみるのも面白かろう。 

www.sandinista.xyz

 

最後に一番大切なもの、それは愛だ。愛がなければ誰もその世界観に共感してはくれない。愛のない世界観はハリボテの虎だし、あんたの世界観に共鳴する人たちへの愛も必要だ。愛こそすべて。何を「成功」と定義するかにもよるが、その成功が自分だけのものであってはならない。自分ではない誰かにベクトルが向いていない世界観など、世界観ではないのだ。あんたの世界観が実現する未来を、ぜひ俺にも見せてほしい。

 

くそったれの世界に、愛をこめて花束を。

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